ちょうど1年前,北陸新幹線金沢-敦賀間が開業し,ようやく私の故郷である福井県にも新幹線がやってきました。思えば,右も左もわからない(イデオロギーの話を含む)頃から大人たちが北陸新幹線を一日も早く福井に延伸させようと運動するさまを目にし,新幹線は福井県に延伸されなければならないものだとの認識を植え付けられた私にとって,この開業は自身にとっても悲願であり夢でもありました。これは私が,誇り高き福井県民として社会化されている証左であると思います。
かかる社会化の結果,私は栄えある一番列車にして東京から敦賀まで直通運転を行う最初の列車である北陸新幹線かがやき501号のきっぷの争奪戦に勝利し,名誉ある一番列車の旅客となったわけであります。
当日に加賀トンネルを抜けて沿線の民家の屋根瓦がオレンジから黒に変わり,「俺は今本当に故郷に新幹線で帰ってきたんだ」と認識したあの瞬間の喜びでもあり感動でもあるあの感情は生涯忘れられないものです。そして芦原温泉駅を通過しその認識が確信に変わった時,その感情があふれ出し,涙を禁じえなかったこともまた,福井県の夢を自らに内在化させられてきたことによるのでしょう。
福井駅入線時には,福井駅一乗谷口側の拡張施設屋上に,開業を祝うプラカードやうちわなどを掲げる多くの同胞たちがいたこともまた,私の感情を激しく揺さぶったものです。彼らがかがやき501号の接近を知らせる鉄道唱歌を耳にした時の感動に思いを致すとき,やはり私は涙を禁じえなかったのであります。
終点の敦賀駅でインタビューに答える中では,生中継であるにもかかわらず感極まって言葉を詰まらせ,開業特番司会の中山秀征氏を困惑させてしまったことも良い思い出です(福井放送の各位にあっては大変ご迷惑をおかけしました)。開業当日は,敦賀駅と福井駅に足を運びましたが,ここは本当に福井なのか?と疑うほどの人出に圧倒されたことは今でも鮮明に記憶に残っています。実際に岐阜県出身の福井県知事閣下も「福井じゃないみたい」といった名言を残しておられます。
開業から1年が経ち,その効果としてこの1年間は人流は拡大したようであり※1,開業してよかったなとその喜びを改めてかみしめているところです。金沢のような成功は難しいかもしれませんが,この開業効果が長く続き,福井に多くの人が訪れてくれることが当たり前になることを願ってやみません。
小浜・京都ルートによる新大阪までの北陸新幹線全線開業の実現という福井県と私にとっての夢が叶う日を楽しみにしています。
(あとハピラインふくいも1周年おめでとう)
※1:福井新聞オンライン2025年3月15日 午前6時20分配信「【北陸新幹線福井県内開業1年】観光来訪者13%増、福井県の伸び全国一 2024年度 恐竜博物館、大本山永平寺、東尋坊…全域に人流拡大」,https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/2262983(最終確認2025年3月16日)。
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